日本のWeb業者は想像以上に残念

レベルの高い技術者の皆様には、想像もつかないような話でございます。

ホームページ業者というのは、なんだか変なのが多い気がします。ここ1,2年でいくつかのホームページ業者と関わったり、関わった人の話を聞いたりしたのですが、残念だったことを晒そうと思います。

  • 本番サーバに公開されたページを客側の管理責任者が修正したら、「勝手に修正するな。ホームページを取り下げるぞ。」と逆ギレ。
  • HTMLソースを見たらゴミタグの山だったりDIVタグが14個入れ子になっていたりする。
  • 業者が自分のサーバーで客のホームページを公開し、アクセス解析のログをとらず、アクセス数の報告もしない。
  • Safariでしか表示確認していない。
  • 本番サーバのコントロールパネルのパスワードを、客側の管理責任者に無断で変更し報告もしない。
  • 電話営業してきたので、「ホームページいらないです」と答えたら逆ギレ。

よくわかっていない広告代理店やデザイナーがホームページに手を出すというのが、一番危険なパターンのようです。(もちろんわかっている広告代理店やデザイナーもいるけど、自分の経験ではまともなのは全体の15%くらい。)

残念なホームページ業者を判別する方法を考えてみました。

  • 納品のタイミングがどこなのか確認。「本番サーバーにアップロードして公開した時点で納品なんだよね」と聞いて、答えが曖昧だったらNG。
  • ホームページの著作権著作者人格権も客のものだよねは客のもので、著作者人格権の行使はしないよね*1と聞いて、「はい当然です」と答えなかったらNG。
  • 動きや効果を出そうとjavascriptやアニメーションなどをむやみに入れて値段をつり上げようとしたらNG。
  • 作業項目を書いた見積書を出してこなかったらNG。(できれば、その中に「コーディング」というような作業項目があって、それなりの金額を割り振っていればOK。)
  • 自分のサーバーで客のホームページを扱おうとする業者は、できれば却下した方がいいです。レンタルサーバーなんて安いところは月何百円で借りれます。どうしても運用管理まで頼むなら、商用目的で頼んでいるのわかってますよねと念を押した上で、アクセス解析のログを取って毎月報告するよう、契約書に盛り込むか一筆書かせましょう。
  • ブラウザのシェア(IE何%とか、Firefox何%とか)を聞いて、概要を答えられない業者はNG。
  • ちゃんと売り上げをあげてない業者は、せっぱつまって初対面の客にいきなりウェブマスター面しようとするからNG。

自分でホームページやブログを作って効果がなかったり問題が起きたりしても、それは自己責任ですが、他人様のホームページを請け負うのって、まったく意味違うでしょう。

話はずれるかもしれないけど、TOMOYO Linuxのメインライン化の話だって、要するに、今まで自分たちが好きなように作っていたものを、他人様が使えるようにするためにどんだけ努力したかって話ですよ。

少なくとも、お金を頂いて他人様のホームページを制作・運用する、ということについては、免許制度か認定制度を設け、あまりにモラルの低い業者は免許や認定を与えないようにすべきではないでしょうか。

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(7/25追記)

逆に考えれば、ホームページ業者のモラルがこれだけ落ちているという現実は、良心的な信頼できる業者にとってはチャンスだと思います。

自分は、この数ヶ月、あるホームページ業者と打ち合わせをしてきましたが、少なくともその業者は、上記の条件の中で、重要なところをクリアしています。まだ確認していないところもありますが、まず、すべての条件をクリアするだろうという信頼感があります。
決して特別に技術力があるとか、そんなことではありません。

  • まず、自分のサーバーでホームページを扱おうというスタンスを持たず、本番環境について何度も確認してきました。
  • きちんと作業工程を書いた見積書を出し、クレームを出したら、見積書の再提出に応じてくれました。
  • 前回頼んだ仕事から、コーディングが常識的であることがわかっています。
  • ホームページというものの性質、特に、ホームページは更新が重要であるため著作権の扱いをソフトウェアに近く考えるべきということを、理解しているように思えます。
  • なによりも、客の要求に対して謙虚であり、常識的です。

客にとって、たくさんの業者に絶望すると言うことは、逆に、信頼できる業者のありがたみ、人材のありがたみが身にしみると言うことでもあります。

自分を含め、客は、交渉の中で浅はかな、間違った要望を出します。しかし、その際、「そんな要望は聞けません、こうしてください」と言われて、小さなプライドを曲げて要求に応じられるかどうかは、その業者が信頼できるかどうかにかかっています。信頼できる相手なら、ありがたみがわかっているから、多少のわがままや不満を言われたとしても、「他の変な業者に頼むよりはましだよなぁ」と譲歩できます。当然のことかもしれませんが、それが交渉力です。信頼関係を築く努力をせず、うわべだけのテクニックだけで要求を通そうとするのは、詐欺師の発想ではないでしょうか。そして、理想論だけで押し切ろうとするのは、せっかくの能力や見識を粗末にする、自分自身への裏切り行為ではないでしょうか。

良心的な業者の皆様は、どうか早く、モラルの低い業者の仕事を奪って業績を伸ばして、Webの仕事は甘くないと言うことを彼らにわからせてください。

現在、ホームページ業者にとって、数十万円程度の小口の仕事は魅力は少ないと思います。しかし、そういった小口の仕事で、良心的な仕事を切望している客は山ほどいます。これは重要なことです。山ほどいる以上、業界そのものへの評価を左右する可能性があるからです。

そういう客は、大半がホームページについて無知です。良心的にやろうとして、客の浅はかさに絶望することも多々あるでしょう。しかし、モラルの低い業者に苦しめられた客は、良心的であることの価値が痛いほどよくわかります。そこを見逃さず、粘り強く交渉して、無意味な妥協をせずに信頼関係を築き上げていってほしいのです。

*1:7/19 追記:一部事実誤認してたので訂正します。著作権を譲渡すると、譲渡した相手に著作物を公表していいと同意したことになりますが、氏名表示権と同一性保持権については別でした。なので、著作者人格権について行使をしないよう同意を取っておく必要があります。契約に盛り込むなど、書面にしておいた方がいいでしょう。